
西田氏 野球肘で野球を辞めた者が、サッカー、陸上競技などに転換して活躍している場合もある。又、駅伝の場合は、どんなことで適性をしることができるか。
渡辺氏 短距離は天賦のものがあるが、長距離は努力である。筋力が違うから。
西田氏 「勝ち」にこだわらず楽しめるスポーツが大切である。逆に、勝つための中学校のスポーツについて考えよう。
渡辺氏 全国大会に出場する選手の精神面をどう励ますか。力まない、あがらない、不安を持たせないようにさらっと試合にのぞませるのが指導者の力だと思う。技術面、練習内容よりも心の部分をいかに大切にさせるかである。選手があがる状態は、口が渇き、体温・脈拍・血圧が上がり呼吸数も増える。これは、病的な状態でレースやゲームをすることになる。又、指導者が選手に不安がある時は、長々と話をしている場合が多い。私の場合は、心のタスキをつなげればいいと思っている。目標タイムに近づけたらいいなあ、突破できればなおいい。「勝たなくてもいい」、「負けないように走れ」と声をかける。
西田氏 試合の前にかけられた言葉で、心に残っていることはあるか。
井上氏 「緊張するな」と言われると緊張する。逆効果に気持ちがはたらくので渡辺さんのような言い方が良い。
渡辺氏 声のかけ方は大切で、例えば「負けてもよい」とか「負けてみ一」と怒鳴ったり、「夜はよく寝たか」などと言うことにより、心理的に大きな影響を与え良い結果が得られない。生徒にいかに和をもたらすかが大切である。
西田氏 中学校の体育に望むものは
中村氏 時代と共に中学生も変わってきている。日本においても国際ゲームぬきには考えられず、高校・大学ではスポーツ留学生が増えてきている。しかし、小中学校を見るとまだまだ国際交流が少ない。小さいときから世界の異質な文化の中で判断する能力、相手を理解する能力など機会があれば身につけさせて欲しい。
西田氏 普段から話のできるドクターが大切と提言され、スポーツ界から医学へ進む道をとられ、今、中学時代に何を望みたいか。
松本氏 燃え尽き症候群かもしれない。メキシコ大会を目指していたが、自分より優秀な選手がつぶれていたので、自分に手助けできることはないかとスポーツ医学へと転向した。子どもは大人の小型ではない。身体が大きくても子どもである。医学面で言うと、成長軟骨がまだ残っている時、子ども達が安心して練習できる環境条件を整え、興味の持てる指導を望みたい。
西田氏 現場の体験や金メダリストの話、又、スポーツ人から医師へ転向した話、女子代表のスポーツ者からの意見や要望など、貴重な話を聞くことができた。その中で、「俺達に誇れるものがあるか。」と叫んだ生徒の心には、誇れるものが欲しいという気持ち、スポーツに対するハングリーさがいっぱいあるということを受けとめ、答えて欲しい。又、複数の部活動の話など、いろいろな場を通して交流を深め本日の提言をフィードバックして欲しい。
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